生誕60周年!今こそ読みたい杉浦日向子のオススメ江戸マンガその3「二つ枕」 (2/3ページ)
ある夜は客が付かずにお茶を挽き、ある夜はまわし部屋で5人を同時に相手し部屋から部屋へと走り回る。
そんな女郎たちのそれぞれの夜が一話完結で描かれます。ヤキモチ焼いたり焼かれたり、親に勘当されたダメンズほど可愛くなってしまったり・・・。
思いのままに生きる事のままならない鳥籠の女郎と男の喜怒哀楽、素直じゃない不器用なやりとりや駆け引きが大人の読者に突き刺さり、思わず「クーッ!」と唸ってしまいます・・・。
浮世絵好きにはたまらない絵柄この作品の特色は、作品によって様々な浮世絵師に絵柄を似せている事です。
例えば吉原デビューのウブな青年の生真面目な心を少しずつほどいてゆく女郎の夜を描いた「初音(はつね)」。
この作品は江戸中期の錦絵の始祖・鈴木春信風。春信が描いたような可憐な少年少女風の絵柄が可愛くて、思わずキュンキュンしてしまいます。
打って変わって「麻衣(あさぎぬ)」という作品は文化文政期に美人画で人気を博した渓斎英泉風。見てください、この色男の切れ長の目つき。
ゾッとするほどの色気がありますよね。勘当されたワガママ色男とちょっと大人な美人女郎のじりじりするやりとりが、絵柄の効果でハッとするほど印象的になっています。

