世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』第317回 MMTという黒船の上陸(後編) (2/3ページ)

週刊実話

あるいは、アメリカの経済学者たちが繰り返しているように、MMTに「ブードゥー経済学」といったレッテルを貼り、内容ではなく印象で批判するわけである。ちなみに、筆者も「三橋は国債を無限に発行できると言っている(※言ったことはない)」といったストローマン・プロパガンダや、「放漫財政主義者」といったレッテル貼りで日常的に攻撃され続けている。

 それはともかく、自国通貨建て国債の「発行上限」はインフレ率、モノやサービスの生産能力(供給能力)であり、財政赤字の額や負債残高ではない。何しろ、政府は子会社の中央銀行に自国通貨建て国債を買い取らせることで、負債の返済や利払いの負担が消滅してしまう。

 政府の国債発行や財政支出により国民経済の「総需要」が膨らんでいくと、やがては供給能力の限界に突き当たる。供給能力を無視して国債発行・財政支出拡大を続けると、インフレ率が健全な範囲を超えて上昇してしまう。それこそが、自国通貨建て国債の発行上限である。あるいは、発行上限にするべきだ。

 逆に考えると、国民経済が投資を蓄積し、生産性を向上させ、供給能力を引き上げていく限り、国債発行の上限が自動的に高まっていくことになる。例えば、日本経済の供給能力が年間1000兆円の需要も満たせるほどに強靭であれば、日本政府が100兆円の追加的な国債発行で消費や投資を拡大したとしても、特に支障はないことになる。なにしろ、普通に需要が満たされ、物価も金利も上がらないのだ。何の問題もない(実際には、日本の供給能力がGDPの2倍近い1000兆円の需要を満たせるとは考えていないが)。

 さて、国債発行の上限がインフレ率、供給能力であるという「事実」を説明すると、今度は「ならば、デフレの日本は税金を取る必要がないではないか! 無税国家日本の誕生だ!」などと、筆者やMMTの主張の「胡散臭さ」を強調することで、主張をおとしめようとする連中が出現する。この手の連中は、そもそも「税金」について理解していない。税金の役割とは、別に政府の支出の「財源」だけではないのだ。

 税金の役割は、主に3つある。1つ目は、埋め込まれた景気の「ビルトイン・スタビライザー(安定化装置)」としての機能。好景気の時期には徴税を増やし、可処分所得を減らすことで景気を鎮静化させる。

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