元財務官僚が語る 仮想通貨の普及を妨げる弱点とは (2/4ページ)
こういうものが流通して、独自の経済圏がいたるところにできてしまうというのは、政府からしたら脅威なのではないですか?
松田:脅威が何を指すのかというと、おそらく政府のマクロ経済政策や金融政策が効きにくくなるということですよね。
――そうです。松田:仮想通貨が世の中にあふれることでインフレが起きたりバブルが起きたりという心配は、私はあまりないと思っています。
というのもインフレというのは実体経済の規模以上に法定通貨が発行されることによって起きるものです。もっと言えば、中央集権の中での経済の仕組みに依存している中で起きる現象です。国が政策に失敗し国としての信用を失ったときにハイパーインフレが生じますし、通貨の暴落が起こります。
これに対して、仮想通貨というのはある価値をバックにして、それを納得する人々の間で発行、流通されるものです。実体から離れてむやみに発行すればレートが下がることになります。そこには自律的な調整が働くのではないでしょうか。
――経済政策上の脅威以外に、政治的な脅威にもなりうるのではないかという気がします。自由に仮想通貨を発行できるようになったことで、たとえば沖縄が独自の経済圏を作ってゆくゆくは独立してしまうとか。松田:それはないと思いますよ。地域通貨が地域経済を活性化して地方の経済的な自立を促進するのはむしろ望ましいことです。国家の機能は国家の機能として、それとは別のものでしょう。むしろ、さまざまな仮想通貨が行き交う社会になって、そこに市場ができた時に、価値のアンカー役として法定通貨には大事な意味が出てくるものだと思います。
その法定通貨として、現在の紙幣や貨幣や預金通貨のほかに、先ほどお話した政府暗号通貨が加わってくるわけですが、形は異なってもいずれも「円」です。メインストリームにそういう法定通貨があるからこそ、それを価値の基準として他の暗号通貨も発展していくのだと思います。
――ビットコインを見てもわかるように、仮想通貨は現状「投資商品」として見られているケースがほとんどで、値動きも落ち着きません。こうした性質のものが社会インフラとして普及することがありえるのでしょうか。松田:現状の仮想通貨には価値の裏づけがありません。