森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★WTO日本敗訴の意味 (2/2ページ)
どんなに安全でも、「原発事故に直面した地域の魚を輸入することが嫌だ」という権利を、WTOは認めてしまったのだ。
私自身は、たばこを吸うし、禁煙する気もまったくない。しかし、若い人たちには、たばこを吸うことを勧めていない。理由は、喫煙者は社会からとてつもない差別を受け続け、これからその差別がどんどん拡大していくことが、目に見えているからだ。
それと同じことが原発にもいえる。ひとたび原発事故を起こしてしまうと、その後、科学的に安全性が証明されても、言われなき差別を受け続けなければならない。それを回避する方法は、たった1つしかない。原発自体をなくすことだ。
政府は、農林水産物の輸出拡大を成長戦略の1つとして掲げている。だからまず農林水産省が、今回のWTO審判をきっかけに、反原発ののろしを上げるべきではないだろうか。再度、原発事故を起こせば、農産物輸出は壊滅するからだ。