「ゲスな自分をありのまま書いた」住所不定無職の作家が描く波乱の半生 (1/3ページ)
2018年に『藻屑蟹』で第一回大藪春彦新人賞を受賞してデビュー。
その圧倒的な筆力が注目を集めると同時に、「路上生活の経験あり、定職なし」という経歴から「住所不定、無職の新人」として話題になった赤松利市さんの新刊『ボダ子』(新潮社刊)は、自身の波乱に満ちた半生を描いた私小説だ。
人生から転落してなお女を追わずにいられない男と、女と仕事にしか向かぬ男の視界の外で精神を病んでいく娘。そして東日本大震災の被災地の過酷な実情。
生々しい中に人間の業の深さと人生の悲しみが漂うこの作品がどうできあがっていったのか。そしてなぜ今回、自分自身の生を題材にしたのか。赤松さんにお話をうかがった。
■「ゲスな自分をありのまま書いただけ」 ――赤松さんの最新作『ボダ子』は、ご自身の実体験に基づいて書かれたとされています。東日本大震災の被災地の状況や、そこで復興活動に携わる土木作業員たちの実情、そして境界性パーソナリティー障害の娘を持つ主人公の大西浩平の人生など、「衝撃的」という言葉では表現しきれない内容の作品ですが、小説ということである程度フィクションの部分も含まれているのでしょうか。赤松:ないです。「私小説」といっていい。
――すべてが実体験だと。赤松:そうです。100%ですね。
――語り手の大西浩平はええかっこしいですし、身勝手ですし、鈍感で他人の気持ちを汲めない人間として描かれています。人間の弱さ汚さが凝縮されたようなキャラクターですが、誰もが大西のどこかに自分自身との共通項を見つけ出せるのではないかという気もします。赤松:本当に身勝手な人間ですよね。ここにいますが。

赤松:いえ、本当にゲスな自分をありのまま書いただけなんです。