危機管理の専門家が語る「日本を標的にしたテロを事前に察知するための知恵」 (1/3ページ)
ある朝、通勤中に突然、空から弾道ミサイルが落ちてくる。
レーダーをかいくぐったステルス戦闘機が、都心を空爆する。
有名ミュージシャンのコンサート会場にテロリストが侵入。銃を乱射する。
こんな危険性を日々考慮に入れて生活している人は、ほとんどいないはずだ。日本は世界的に見ても安全な国であり、ごくまれに無差別殺傷のような陰惨な事件はあるが、自分の生活圏にはそんな危険は及ばない、というのが大方の共通認識だろう。
しかし、本当はそんなことはない。特にテロの場合、自動車で人ごみに突入する「ラミング・アタック・テロ」など、必ずしも銃火器やナイフが必要なわけではなく、誰にでも実行可能だ。となると、多少は可能性を頭の片隅には入れておくべきだろう。
■テロを察知するために意識すべき「ベースライン」とは『民間人のための戦場行動マニュアル: もしも戦争に巻き込まれたらこうやって生きのびる』((株)S&T OUTCOMES、危機管理リーダー教育協会、川口拓著、誠文堂新光社刊)は、私たちがもしテロや戦争、ゲリラ戦に巻き込まれたら、どのような行動をとるべきか、またこれらをいかに事前に察知するかを、危機管理のプロが解説する。
たとえばテロの場合、自分が被害にあうのを防ぐためには、人の集まる場所にいかないというのが大前提となるが、通勤でターミナル駅を使わざるを得ない人もいれば、海外旅行で知らない街中に行くこともある。完全に人ごみをさけるのは現実的ではない。
だからこそ大事にすべきなのは、「平時の生活(ベースライン)」を記憶しておくことだという。これは、通勤や通学の途中に、いつも同じ場所を掃除しているおじさんだったり、いつも同じ場所で聞こえてくるテレビの音であったり、通り過ぎる飲食店の匂い、といったものだ。