『全身編集者』よんでみた:ロマン優光連載138 (3/5ページ)

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しかし、劇画狼氏は編集者としてそれを行った。それは正しかったのだろう。山中氏の文章は白取氏とかっての『ガロ』への切実な想いで溢れていて、白取発言に対する訂正も身を切るような想いで書かれているのが伝わってくる。ここにあるのは真実がどうとかそういうものではなく、「想い」なのだ。
 こういった構成によって、「作家」というものが想い至ることがないようなやり方、編集者という人種にしかできないようなやり方で、白取氏と劇画狼氏は本作にさらなる深みと凄みを与えることに成功している。その本文ラストの劇画狼氏による 〝でも、教えてもらった通りにやったから、最後には楽勝でしたよ。〟
 という一文。そこに込められた想いを私は正確に知ることはできないのだが、色々な意味で心が揺り動かされる。本編の文章から構成にいたるまで『全身編集者』というタイトルに相応しい内容の一冊であり、それを手掛けるに相応しい編集者によって産まれた一冊なのだと思う。

(隔週金曜連載)

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