3500年前の失われた宮殿がダムの底から発掘される(イラク) (1/3ページ)
credit:University of Tubingen, eScience Center, and Kurdistan Archaeology Organization
イラク最大のモスルダムは、基礎が侵食されているせいで決壊の恐れがあるとされ、世界でもっとも危険なダムと呼ばれることがある。
そんな危険なダムだが、2010年には干ばつのために記録的なまでに水位が下がってしまったことがある。それが、思わぬ発見につながった――ダムの底から青銅器時代にまでさかのぼる古代都市の遺跡が見つかったのだ。
遺跡はその後再び水没したが、最近の干ばつでまたもその姿を我々の目の前に現してくれた。
・ミタンニ王国のケムネ宮殿
ダムの底に眠っていたのは、ケムネ宮殿(Kemune Palace)と呼ばれる遺跡だ。紀元前16世紀から14世紀にかけて現在のシリアの一部を支配していた、ミタンニ(ミッタニ)王国の時代にさかのぼることができるとされる。
フルリ人(フリ人。旧約聖書のホリ人と言われる)によって建国されたミタンニ王国は、多民族の戦士で構成される封建社会だったことで知られる。かつてはメソポタミア北部のほか、地中海沿岸部の諸都市を支配し、古代エジプトやバビロニアと覇を競い合っていた。
この時代の遺跡でミタンニ王国の宮殿が残されているのは、ほかに3ヶ所しかなく、しかも王国の領土の周縁にあるものだ。
だが、このケムネ宮殿は、王国の中心部における人々の暮らしを垣間見ることができるという点で貴重な歴史的資料だ。