前世の記憶がきっかけで?平安時代のやんごとなき姫君と冴えない衛士の駆け落ちエピソード【一】 (1/2ページ)
皆さんは「前世」を信じますか?
初めてのはずなのに、なぜか見たことがあるような風景や、会ったことがあるような人物など……。
単なる気のせい、記憶違いなのかも知れませんが、もしかしたら、前の人生で体験していたのかも知れません。
今回は、そんな前世の記憶から生まれた、平安時代のとある駆け落ちエピソードを紹介したいと思います。
故郷があまりに恋しくて……今は昔、朝廷を警護していた一人の衛士(えじ)がおりました。
務めに励む衛士(右端。イメージ)「これ、しゃんとせぬか」「へぃ、すいやせん」どうも身の入らない様子。
この男、決して怠け者ではないのですが、無理やり故郷から連れて来られた上に、地元愛が強すぎることもあって都の暮らしにもなかなか慣れず、日々の務めに身が入らないのも無理からぬところです。
そんな訳で、今日も今日とて東の空を見上げては、
「あぁ……武蔵(むさし※1)に帰りてぇだ……おっ父やおっ母の顔を見てぇだなぁ……」
などとぼやき続け、上官にどつき回される毎日だったそうな。
(※1)現:東京都+埼玉県の旧国名ですが、ここでは衛士の故郷である南東部、江戸湾沿岸地域を指しています。
風に吹かれる瓢のようにさて、そんなある日のこと。例の衛士は相も変わらず、東の空を見上げながらぼやいていると、ふと何か思い出したようです。
「……そう言やぁ、故郷を出てくる前に仕込んでおいた酒はどうなったかな……とっといてくれてあるか、いやぁ呑まれちまったかなぁ……」
なんてことを言っていたら、にわかに喉が渇いてきました。