「第85回夏の甲子園」県立岩国が挑んだ“超高校級チーム” (1/2ページ)
甲子園初出場からの連敗記録は現在、盛岡大付(岩手)の9連敗が最多。だが、この盛岡大付が抜くまで、海星(長崎)と並ぶ1位タイの7連敗をマークしていたチームがある。山口県の県立高校・岩国だ。
その不名誉な記録がようやくストップしたのが2003年の第85回夏の選手権。初戦の羽黒(山形)戦に6‐0で勝ち、71年第43回春選抜で初めて甲子園に登場して以来、実に32年越しの悲願を達成したのだ。
だが、初勝利の余韻に浸れたのも束の間だった。2回戦で「強敵中の強敵」との対戦が決まってしまったのだ。この春の選抜優勝校の広陵である。西村健太朗(元・読売)‐白濱裕太(広島)の超高校級バッテリーに俊足好打の1番・上本博紀(阪神)、そして1年生ながらその素質を買われてベンチ入りした藤川俊介(阪神・登録名は俊介)などタレントぞろい。もちろんこの大会の優勝候補筆頭。当然のように岩国の大差負けに終わるというのが戦前の予想だった。
試合は1回裏、広陵はトップの上本がショート強襲ヒットで出塁し、いきなり盗塁を決めると送りバント、中犠飛で電光石火のごとく先制点を挙げる。ここから広陵打線が爆発する…と、誰もがそう思っていた。だが、試合は意外な展開を見せる。
2回表、岩国は先頭の5番・村重孝治が右前打で出塁すると6番・津山淳史が死球。ここで7番・中柴翔吾が定石通り送りバントを決めるが、なんと西村が一塁へ悪送球してしまい、たちまち同点に。さらに3回表には3番・藤田晃弘の右中間突破の二塁打から2死一、二塁とすると6番・津山の適時二塁打でなんと勝ち越しに成功したのである。
このまさかの展開に、ようやく広陵打線が目を覚ます。4回裏、先頭の4番・白濱が二塁打で出塁すると相手エース・大伴啓太の暴投で三塁に進塁。このチャンスに5番・藤川の打球はショートへの内野安打となり、まず同点とする。さらに下位打線に2本の適時打が生まれ、最後は1番・上本の右前適時でこの回一挙に5得点。当然、これでここから本当に広陵ペースになるハズ…であった。
しかし、この日の岩国はしぶとかった。6回表、5番・村重からの3連打などで2点を返し、これで1点差。