「第85回夏の甲子園」県立岩国が挑んだ“超高校級チーム” (2/2ページ)

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その裏、上本の2点適時三塁打で4‐7と再び広陵に3点差とされたが、次の7回表にこの試合、最大の勝負どころが訪れたのである。

 それはこの回先頭の1番・太田尾尚博が四球、2番・松前優が右前安打し、3番・藤田が送った1死二、三塁の場面だった。ここで4番の大伴の打球はセンターからややレフト寄りの飛球となる。三塁走者がタッチアップするなら本塁で刺そうと狙った広陵のセンター・安井がなんとまさかの落球。これでまず1点を返すと、5番・村重もセンターへ弾き返し、1死満塁とチャンス拡大。この場面で打席にはこの日、2安打と大活躍の6番・津山。この津山がセンターオーバーの走者一掃適時3点三塁打を放ち、とうとう試合をひっくり返したのだ。

 この逆転劇に広陵守備陣は動揺したのか、二塁を守る名手・上本が7番・中柴の二ゴロを間に合わない本塁に投げて岩国がさらに1点を追加。そして9回表にも広陵の内野守備が乱れて決定的な3点を加える。最後は岩国のエース・大伴が相手の反撃を許さず、試合終了。なんと12‐7で優勝候補を倒すというジャイアントキリングを成し遂げたのである。

 実はこの伏兵の大金星の裏にはこんな話がある。

 大会ナンバーワン右腕の西村に対し、岩国の河口雅雄監督は「まともにやったら打てない」と、各打者全員がバットをひと握り余して持ち、ベース寄りに立って外角球に食らいつく作戦を指示していた。これを知らない西村は2回に死球を与えてから大胆に内角を攻めることができなくなり、よけいにてこずることとなったのである。さらに得意の変化球の制球力が定まらず、真っすぐを狙われているとわかっていても、直球で勝負するしかなかった。その結果、外角に置きにいった球が致命傷となってしまったのだ。

 この後、岩国は続く3回戦でも名門・福井商に12‐4で圧勝。準々決勝では強豪・桐生第一に4‐5と惜敗したものの、それはまさに甲子園初勝利からの大旋風であった。

(高校野球評論家・上杉純也)=敬称略=

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