いったいなぜ?無数の人骨が発見された骨の湖「ループクンド湖」新たなるDNA調査で更なる謎が深まる(インド) (3/4ページ)
ハワイ大学の考古学者ミリアム・スターク氏(研究には不参加)は、多くの遺跡とは違い、ループクンド湖は「文化的コンテクストの中にない」と指摘する。だからこそ、今回の調査は、不完全なデータセットから「どれだけの情報を得られるかを知ることができる大切なケーススタディ」なのだそうだ。
科学的な観点から唯一都合がよかったのは、そこが非常に寒い環境にあり、骨やDNA、さらには衣服や肉といったものまでをも保存してくれた点だ。
だが、この条件は研究を難しくもしている。
2003年の調査隊にも参加したことがあるデカン大学の考古学者ヴィーナ・ムシュリフ=トリパティ氏によれば、ベースキャンプですら現場から700メートルも下にあり、天気は危険で気まぐれなものだ。
周囲があまりにも急峻であるために、調査をするにはまず湖の上にある峰に登り、そこから滑って下りていかなければならない。おかげで、彼女自身は高山病にかかり現場にたどり着けなかったそうだ。
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Djds4rce/wikimedia commons
・小さな事象の解明
コペンハーゲン大学の遺伝学者フェルナンド・ラシモ氏が指摘するように、昔の人間から採取したDNAの研究は、一般に人類の数千年をかけた移動をテーマとしている。
だが、今回の研究はそれとは対照的に、「古代のDNAの研究が人類の大移動についてだけでなく、もっと小さな出来事についても教えてくれる」ことを証明する格好の事例だ。
ペンシルベニア大学人類学部の学部長であるキャスリーン・モリソン氏にとって、ループクンド湖の人骨の出自はそれほど関心をそそるものではないという。