古市憲寿 芥川賞落選は「立候補したわけではないので」 (1/3ページ)
『平成くん、さようなら』に続いて『百の夜は跳ねて』を芥川賞候補に送り込み、小説家として活動の幅を広げている古市憲寿さん。
惜しくも受賞はならなかったが、候補作となった『百の夜は跳ねて』は現代の都市生活を書く、冷たく鋭利な視点が際立つ長編。古市さんはこの作品をどのように構想し、作り上げていったのか。そして、社会学者として活動していた古市さんはなぜ小説を書くようになったのか。ご本人にお話をうかがい、さまざまな疑問をぶつけさせていただいた。
■連続芥川賞候補入りも受賞はならず みやぞんに言われたひと言 ――『百の夜は跳ねて』は、『平成くん、さようなら』に続いて芥川賞の候補に挙げられましたが、受賞はなりませんでした。残念でしたね。古市:そうですね。でも、この間日本テレビにいたら、みやぞんさんに「おめでとうございます!」と言われ(笑)。「残念でした」は言われ慣れているから返答できるんですけど、「おめでとう」と言われると、どう返していいかわからなかったです。
――古市さんが受賞したと勘違いしていたんですか?古市:ノミネートと受賞を混同されたのかもしれないですね。みやぞんさんではないですが「二回連続おめでとうございます」と、僕が二回受賞したと勘違いしている方もいましたし。
――『平成くん、さようなら』で受賞を逃したということで、「今回こそは」という思いはあったのでしょうか。古市:いやー…。立候補したわけではないので、「今度こそ」というのはありませんでした。そもそもこの小説を書いたのは3月で、発表されてからももう何ヶ月も経っていましたし。選挙のように政治活動をするものでもないですしね。
――『百の夜は跳ねて』は、就職活動で挫折し、高層ビルの窓掃除の仕事に就いた翔太と、不思議な老女との交流が描かれています。実は私も少しだけこの仕事をやったことがあるのですが、作業の描写がとてもリアルでした。もしかして古市さんも経験者ですか?古市:いや、経験者ではないです。どちらかというと建物の中にいた側で、タワーマンションに住み始めた頃に、清掃員の方の作業を見ておもしろいなと思っていました。