「セキュリティは不十分」 情報セキュリティ専門家が指摘するキャッシュレス社会の落とし穴 (3/6ページ)
私のような暗号技術研究の中にいる研究者からすれば、非常に問題の多い方法であると言わざるを得ません。
本書には、仮想通貨の崩壊の理由として8つあげています。

そのうちの特に「内部崩壊」の「⑤51%攻撃が成功している」という事実は非常に問題です。サトシ・ナカモト論文で前提とされた「良心的なノードがCPUパワーの半分をコントロールすること」が、想定されつつも非現実的とされていた「51%攻撃」によって呆気なく崩壊してしまいました。特に本流の一つと考えられていた「イーサリウムクラシック」でも2019年1月に実際に報告されました。つまり、前提が崩れて被害が出たわけです。こうなると、仮想通貨の安全性は担保できなくなる。
もちろん「④莫大な電気料、通信料が必要」も問題ですし、「③データ量が増えすぎてP2Pの共有が困難」ということも、専門家が指摘していかないといけないですよね。
――中村さんはコンピュータ・アーキテクチャと情報セキュリティを専門領域に研究をなされてきましたが、ビットコインが登場した際の受け取り方はどのようなものでしたか?中村:ビットコインが登場したのは2009年だったと思いますが、当時はそのことに気づいていませんでした。その2、3年後に知人からそういうものがあるらしいと聞かされたのですが、そのときも見向きもしませんでしたね。私たち研究者のメインストリームとは全く異なるところから出てきましたから、気にしなかったのが実態です。
サトシ・ナカモト論文を読んだのもしばらく後で、問題外という感想でした。まさかブームになるとは……と驚きましたし、セキュリティ面についてもう少し早く警告しておけば、と。