連続芥川賞候補 古市憲寿が「小説」を書く理由 (1/3ページ)

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連続芥川賞候補 古市憲寿が「小説」を書く理由
連続芥川賞候補 古市憲寿が「小説」を書く理由

『平成くん、さようなら』に続いて『百の夜は跳ねて』を芥川賞候補に送り込み、小説家として活動の幅を広げている古市憲寿さん。

惜しくも受賞はならなかったが、候補作となった『百の夜は跳ねて』は現代の都市生活を書く、冷たく鋭利な視点が際立つ長編。古市さんはこの作品をどのように構想し、作り上げていったのか。そして、社会学者として活動していた古市さんはなぜ小説を書くようになったのか。ご本人にお話をうかがい、さまざまな疑問をぶつけさせていただいた。その後編をお届けする。

(インタビュー前編を読む)

■古市憲寿が論文でなく「小説」を書く理由 ――古市さんは社会学者として日本社会の実像を書いてこられましたが、「小説」という形でフィクションを書くようになったのはなぜなのでしょうか。小説を書くモチベーションについてお聞きしたいです。

古市:以前から「小説を書いてみませんか」とは言われていたんですけど、なかなか書けずにいたんです。

ただ『平成くん、さようなら』の前に発表した小説を書き始めた頃に、祖母が急に倒れて入院したんですね。その時に起こったことや感じたことを書こうと思った時に、評論の言葉や社会学の言葉では書きにくかった。書けないことはないんですけど、言えないこととか隠しておきたいことがありすぎて、どうしてもウソになってしまう。ならば、フィクションという形で書いた方が、自分の感情を素直に書けるなと思ったんです。

そのスタンスは今でも変わっていなくて、社会学の言葉や評論の言葉に乗りにくいことを小説では書きたいと思っています。たとえば、今回の小説のように「現代型の貧困」や「就活の失敗」をテーマにしようとすると、「貧困率のパーセンテージ」や「年代別の生活満足度」といった数字で表現できることだけでは大雑把すぎて取りこぼしてしまうことも多い。そういった部分を小説なら書けるのではないかと思っています。

――社会学の論文では表現できないことが、小説なら表現できる。

古市:そうですね。

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