持分なし医療法人への移行における「法人税の交際費の計算」という盲点 (1/2ページ)
医療法人の公益性を高める観点から、現状医療法人は持分なし医療法人しか設立できず、かつ医療法の改正前に設立できた持分ありの医療法人についても、持分なし医療法人に移行することが求められています。この移行について、前回見た通り贈与税のリスクがあることはよく知られていますが、もう一つ、法人税のリスクがあることはあまり知られていません。
このリスクとは、法人税の交際費の計算です。
■資本のない法人の交際費
法人税において、中小法人の交際費は、年800万円までが経費になり、それ以上の金額は経費にならないことが原則です。ここでいう中小法人ですが、資本金1億円以下の法人を意味します。ただし、ここで押さえておかなければならないことは、持分のない法人など資本金のない法人は、1億円の判断を以下の計算で行うことです。
期末総資産簿価-期末総負債簿価-当期利益(または+当期欠損金)×60%
株式会社などの場合、資本金は任意に決められますので、純資産が多くても資本金額が小さい会社は多くあります。このことは持分あり医療法人も同様で、純資産が多いのに資本金が小さく、結果として資本金が1億円以下で交際費は800万円まで経費にしている場合が多くあります。
しかしながら、持分なし医療法人については上記の算式の通りの計算になりますので、過去の利益が大きく内部留保が多額であれば、純資産が大きくなり上記の算式の計算上、1億円を超える場合が多くあります。となると、このような持分なし医療法人は交際費の計算上中小法人から外れることになります。
中小法人以外の法人の交際費は、原則としてその全額が経費になりませんから、持分なし医療法人に移行した後、交際費が経費として認められなくなるといった事態が生じることになります。
■持分なし医療法人に苦労して移行する法人のほとんどはひっかかる
贈与税の問題が生じますので、持分なし医療法人に移行するのはハードルがあるといわれます。