科学と非科学、西洋医学と東洋医学、それぞれのバランス (2/4ページ)
日本における第一人者 帯津良一医師(元東大医学部医局長)によると、ホリスティック医学も黎明期にはアンチ西洋医学的な立場の人が多くいたが、現在はむしろ西洋医学を核とした上で、東洋の智恵を取り込むという形になっているという。帯津医師自身も「中西医結合」を唱え、気功や漢方などの東洋医学を取り入れ、かつ、必要であれば手術や放射線治療なども積極的に行う全局面的な治療体制を提供している。
帯津医師は神秘思想家 ルドルフ・シュタイナー(1861~1925)についても言及している。シュタイナーは「シュタイナー教育」の創始者として知られているが、霊の世界を感知する能力があったとされている神秘思想の大家である。しかし、あくまで科学的な視点を放棄せず、霊の存在が前提となる「霊学」の確立には、科学的思考が不可欠であると強調している。シュタイナーには霊や死後の世界を語る著書が多数存在しているが、自分の思想を学ぶ上で最初に読むべき著書として推奨する「自由の哲学」はオカルト的な要素は全く無い論理的な哲学書である。非科学的な領域に関わるなら、その前に科学的・論理的思考を身につけることが必要なのだと言うわけだ。
帯津医師も矢作名誉教授も、重要なことは医師を辞めていない事実である。ガンでなくなったフリーアナウンサー小林麻央さん(1982~2017)が標準的な治療を拒否し、民間療法に偏った方針を取っていたと一部報道がされた。その真実は外部の人間には知るよしもないが、帯津医師は小林さんについて、あの年齢で乳ガンなら私なら手術を勧めていたと述べており、がん治療は戦略的に行わなくてはいけないとしている。戦略(Strategy)とは、いくつか戦術(tactics)の組み合わせで成り立っている。手術、放射線、そして漢方や気功も戦術のひとつとして採用し、多角的かつ総合的治療が必要なのだ。
スピリチュアリストを自称する江原啓之氏がテレビ番組で「病気になったら病院に行きなさい、私も病気になれば病院に行きます」と話していた。理性ある発言だと思う。手かざしや祈るだけで万病が治るわけもない。しかしプラシーボであれなんであれ、一定の効果があることも事実である。まずは実証的な西洋医学の門を叩き、足りない部分を補完するのが理性的な態度といえる。