失踪ミステリー。忽然と姿を消した人が最後に残した意味深な言葉
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行方不明、失踪は世界のどこかで毎日のように発生している。無事に戻ってくる人がいる一方で、再会することが叶わず、行方を知ることができない家族も多い。
そんな場合、消えてしまった人が最後に残した言葉が、強烈に記憶に焼きつけられるのも無理もない。その言葉に特別な意味付けをしてしまうものなのだ。
実際にその言葉は、行方不明者のその後の運命のヒントが隠されているのか?何かの前兆だったのか?それとも何の意味も持たないものなのかは、本人が戻ってこない限りはわからない。
ここでは、突然いなくなってしまった5人の人々が、911(緊急通報)のオペレーターや、同僚、友人、家族に残した最後の言葉を見ていこう。
・1. "追われているんです。何人もに"
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マイケル・"マイク"・マクレーンは、2019年4月20日の夜、アメリカ・ニューハンプシャー州ナシ
ュアにあるトロピカルラウンジ・ナイトクラブで夜を過ごしていた。29歳のマイクはクラブで友だちと楽しんでいて、人生を捨てる理由など何もなかったように見えた。
その夜、クラブでふたりの女性の間で喧嘩が起こった。事態はエスカレートして、ふたりは店の外に出て、野次馬がまわりを取り囲んだ。
マイクは片方の女性を知っていたので止めに入った。だが、警察が呼ばれて群集は散り散りになったのを最後に、マイクの姿が見えなくなった。
翌21日の午前2時少し前に、マイクから上司のところに電話があり、こう言ったという。「追われているです。何人もに」
上司はすぐに折り返しの電話をしたが、もうマイクが出ることはなかった。そのとき以来、マイクの行方は知れない。
マイクの家族は、イースターにも妹の誕生日にも彼からの電話がなかったので、なにか悪いことが起こったことに気づいた。
マイクは例のナイトクラブを徒歩で離れ、その店から数ブロック行ったところにあるマクドナルドから電話をかけていることがわかっている。
その時刻はちょうど、上司が彼からの電話を受けた時刻と一致していた。だがそれ以外は、なんの足取りもない。クレジットカードも使われていなければ、ソーシャルメディアへの投稿もなし。いまだにマイクは行方不明のままだ。
・2. ”今夕食を作っているところだ”
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ウィル・チェルザン(58)は、シックス・フラッグス・マジック・マウンテン(カリフォルニア州のテーマパーク)で長年勤務し、スポーツ観戦、コカコーラのビンの収集、料理を楽しむごく普通の男だった。
2017年1月26日、ウィルはカリフォルニア州サンタクラリタの自宅で、甥と一緒にテレビでゴルフを観て過ごした。甥が帰った後、ウィルは夕食を作り始めた。
午後4時半頃、妻のリンダが外から電話してきたとき、ウィルは「夕食を作っているところだ」と言った。その後、5時頃に再びリンダが電話すると、ウィルは上機嫌でチキンが焼けたと言った。しかし、リンダが6時頃に家に帰ってくると、ウィルの姿はどこにもなかった。
夕食はできていて、オーブンの火も消されていた。ウィルのコート、カギ、サイフなどもみんなそのままあった。サイフの中身もなくなっていなかった。飼い犬も家にいて、ウィルのトラックも外に停まったままだった。
謎めいた手がかりがいくつか出てきた。2017年2月、ウィルの血液が家の中で見つかった。隣家の監視カメラには、午後5時過ぎに白いSUVがウィルのガレージに向かってバックで入ってくるところが映っていた。
そしてほんの数分後には、SUVは走り去っている。警察によると、この車は家族のものだということだったが、こうした手がかりは解決にはつながらなかった。
2017年5月、ウィルの甥の名が重要参考人としてあげられたが、甥は捜査に協力し、逮捕はされなかった。
2018年12月、ウィルの自宅からそう遠くないバレンシアから人間の頭蓋骨が発見されたが、この頭蓋骨はウィルのものではなく、まるで無関係だった。
そして今も、ウィルがどうなったのかまったくわかっていない。
・3.” あとで折り返すわ”
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オーストラリア、ゴールドコーストで小学校教師をしていたマリオン・バーターは、ごく普通の幸せな生活を送っていた。それが暗転したのは、90年代半ばにマリオンが3度目の結婚に終止符を打ったときだった。
その数年後の1997年、マリオンは突如自宅を売り払い、イギリスへ旅に出た。
その後、音沙汰がなく、7月31日に初めてマリオンからのメッセージが、娘のサリー・レイドンの留守電に入った。
後でまた公衆電話から電話してきて、今、ケントのタンブリッジウェルズにいて、老婦人たちとスコーンとお茶をしながらいい時間を楽しんでいると言っていた。
会話の途中で、お金を投入しているチャリンチャリンという音が聞こえていたが、追加のコインが切れてしまったのか、電話を切らざるをえなくなった。「あとで折り返すわ」それがサリーが聞いたマリオンの最後の言葉だった。
当時、51歳だったマリオンは、それっきり行方不明になっている。
電話の会話がわずかにずれて遅れていたことから、確かにマリオンはイギリスにいたとサリーは確信している。
1997年10月、さらにおかしなことが起きた。マリオンの銀行口座から数千ドルが引き出されたのだ。
引き出された場所は、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州バイロン・ベイだったが、現地の警察が調べても、マリオン本人の痕跡は見つけられなかった。いまだにマリオンの行方は知れない。
・4.”愛してるよ、親父”
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25歳のチェース・アラン・ラッキーは、アマチュアソフトボールチームのメンバーだった。2017年6月30日、チェースは試合に出ていて、それを父親のクレイグが観戦していた。その日に息子に言われた言葉は、クレイグにとって決して忘れられないものになった。
「愛してるよ、親父」 まさか、この言葉が息子チェースの最後の言葉になるとは思いもしなかったのだ。
翌日、チェースがヒューストンにある自分のアパートの外を飼い犬を連れて歩いているのを目撃されたのを最後に、それ以来、チェースも犬も姿を消した。チェースのアパートから盗まれた物はなく、車もそのままだった。
ごくごく普通の暮らしをしていたチェースの失踪は、なんらかの事件に巻き込まれた可能性が疑われた。詳細はほとんど公表されていないが、チェースの友人の何人かが違法行為が絡んでいるようだった。
しかし、逮捕者は出ず、2年が過ぎた現在も、チェースと犬の行方は知れない。
・5. "チャンスがあるうちに話しておきたい"
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2018年夏、マシュー・ウィーバーは、両親の住むカリフォルニア州シミバレーの実家から、ロスのグラナダヒルズのアパートに引っ越した。
送電線の作業員として働く21歳のマシューの生活は順調で、世界中を旅する計画をたてていたが、その夢はこの失踪とは関係ないようだ。
同年8月9日、マシューは父親に知人の女性と出かけると言って、午後9時半頃にその女性を迎えに行き、翌10日の明け方、彼女を家に送り届けた。この間、ふたりは個人的な話をしたという。
その後、マシューはサンタ・モニカ山脈のトパンガへ向かい、美しい日の出の写真をスナップチャットに投稿して、ハイキングコースに入ったと思われた。
数時間後、そのマシューの女友だちは、奇妙なメールを受け取った。「おかしなことが起こっている。チャンスがあるうちに話しておきたい」 しかし、それ以降、マシューからの連絡はなかった。
スナップチャットや通話履歴から、マシューが最後にいた場所は、ロサス・アウトルックの近くだった。8月11日午前1時半、付近を通りかかったハイカーたちが助けを求める叫び声を聞いて、911(緊急通報)に連絡した。
同じ頃、カリフォルニア・ハイウェイパトロールの警官も、「彼は銃を持っている!」という誰かの叫び声を聞いている。
マシューの車がハイキングコースの近くで見つかったが、車のキーが発見されたのは2019年の1月。車があった場所から7メートル半ほどのところで、ハイカーたちによって発見された。
同月、高解像度ドローンで付近を撮影した写真によって、マシューのものと思われる野球帽と引き裂かれたTシャツが見つかった。こうした手がかりがいくつかあったにもかかわらず、マシューはいまだに戻ってこない。
written by konohazuku / edited by parumo