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週刊実話

〈企業・経済深層レポート〉 檀家制度崩壊が致命的 “寺院消滅”の危機

 現在、日本国内に約7万7000(文化庁・2013年度調査)の寺院が存在していると言われているが、そのうち地方を中心に約2万が住職のいない無住寺院だという。
「年々、無住寺の数が増えていて、2040年までに896もの地方自治体で“寺院消滅”することが懸念されています」(全国紙の社会部記者)

 寺院消滅が進む背景には、なにがあるのか。
「1番の原因は『檀家』制度が崩壊したことです」(地方在住の元住職)

 檀家とは、寺院に葬祭供養や墓の管理を行ってもらう代わりに、特定の寺院に所属する家のこと。檀家がお布施という形で、寺院を経済的に支援することで寺院は存続できていた。
「地方から都市部へ移住した世代が、先祖代々受け継がれてきた墓をたたみ寺院を“離檀”する檀家が増えています。寺は収入源を檀家に依存してきただけに、檀家の減少はそれだけで寺経営を圧迫しています」(同)

 離檀することで、新しいお墓などへ遺骨を移動させなければいけない。このことを「改葬」というが、実際に改葬数の増加は厚労省の調査(衛生行政報告例)でも歴然だ。2000年6万6634件だった数が、2018年には約10万4493件になっている。

 改葬後の遺骨は、「移住地の近くに新たなお墓を建て、そこに納める」「共同納骨堂に納める」の大きく2パターンに分かれる。「新たにお墓を建てるのはおカネがかかる」という経済的な理由から、後者を選ぶ人が多いという。
「費用は、納骨堂使用料、永大供養(期限を設けず遺骨を管理、供養すること)料、施設の管理費などを含めて、家族向けであれば80万円前後。個人で墓を購入すれば平均200万円かかると言われていますから、それを考えれば格安です。経済的に優しいですし、『仏教離れ』といわれるように、現在の日本人は信仰心が薄れているため、新たに檀家になろうと思う家は少ないんですよ」(葬儀関係者)

 檀家が減っているだけではなく、寺院収入のメインとなる葬儀のお布施額も減少しているという。
「お布施額は、宗派や地域によってさまざまですが、通夜から告別式、さらに戒名代を含めた葬儀一式で30万〜50万円が相場でした。

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