鬼邪高校全日制に通う轟洋介くんのこと~ 映画『HiGH&LOW THE WORST』 を見て~:ロマン優光連載146 (2/5ページ)

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轟は転校初日に全日制の不良をシメて、初めてその事実を知ったのだが、自分の転校する学校に全日制と定時制が存在していることも知らないような人間が果たして頭がいいのだろうか?
 また、 映画の前日譚が語られるテレビドラマ『HiGH&LOW THE WORST episode.0』にて『君主論』を読んでいたことも、轟が知性派の証であることの根拠として語られる場合もある。しかし、ここで轟が読んでいたのは『君主論』ではなく『アタマのための君主論』という本だ。タイトルから察するに『君主論』の内容を適当に引っ張ってきて、なんかタメになるっぽいことを言ってたりするようなタイプのビジネス本のたぐいだろう。『リーダーのための足利義教語録』とか『戦国武将・小田氏治から学ぶチャレンジ・ビジネス』とか、そんなたぐいのいい加減なハウ・トゥ本みたいなやつに決まっている。果たして、本当に頭がいい人がそんな本を読むだろうか? 本当に知的な人種なら、そんな本読まずに、岩波から出てるちゃんとした『君主論』を読んでるだろう。

 だいたい、轟があんな本を読んでいるのは、村山さんにリーダーとボスとの違いについて語られたから、自分なりに勉強しようとして間違った結果なのだろう。『君主論』は違うと思うぞ、絶対。あれは知的な轟ではなく、村山さんの言ったことの真意を知りたくて自分なりにがんばったけど、天然なので間違った本を手にしてしまった可愛い轟というシーンなのだ。とはいえ、轟一派の溜まり場に行ったら、轟は無言で『アタマのための君主論』という権謀術数とか書いてそうな本読んでるし、辻と芝マンは何か無言でテレパシー(注・轟の舎弟分である辻と芝マンの二人は「描写としては内面の声のはずなのに、互いにその内容が聞こえている」という謎のシーンが度々あったため、「二人はテレパシーで会話できる」という設定が一部のオタクの間に共有されている)で会話してるだけだし、誰も話しかけてくれないし、ほんと居心地悪いだろうな……。そんな目にあった高城司くんが「轟の下にはつけない」と言うのも、凄く納得。

 全日制・定時制を合わせた上で、村山さんの次に強いのは轟なのは鬼邪高生全員が認めるところなのに轟一派が三人しかいないのは、三人全員が他人とコミュニケーションがとれないタイプだからだろう。

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