安倍出身清和会vs田中角栄の亡霊「仁義なき戦い」 (2/3ページ)

週刊実話

「経世会議員が、逆に抵抗勢力とヤジられ低く見られた」(同)という逆転現象が起きたのだ。

 安倍政権を支える土壌が崩れるのは、緊縮財政志向の安定経済を唱える経済政策を転換せざるを得なくなったとき。そのとき、現れるのが、田中角栄の薫陶をうけた政治家たちだ。小沢一郎氏はその一番手だが、野党であり、人格攻撃でダーティーなイメージがついたため、もはや復活はない。

 注目されるのは、今回の党人事で続投が決まった二階幹事長だ。二階氏は田中角栄から直接薫陶を受けた、田中イズムを持つ数少ない残党の1人。さらに、党内一の実力者でもある。

 その証拠に竹下派の金田勝年幹事長代理が竹下派を退会し、二階派に入会することが明らかになった。現職の党幹部の派閥離脱は極めて異例。二階幹事長自らが口説いた派閥拡大路線の一貫だ。

 さらに自民党議員の死去に伴って繰り上がり当選した出畑実氏が4日、二階派(志帥会、46人)に入会する意向を伝えた。10日の派閥会合で正式に入会する見通し。出畑氏の加入により、同派は岸田派(宏池会、46人)を抜いて単独第4派閥となる。まさに、「数は力」という田中政治の体現者だ。

 臨時国会開会前日の3日夜、反安倍の急先鋒で田中門下生でもある石破茂元幹事長と都内のホテルで2時間にわたり会談するなど、二階幹事長はきな臭い動きも見せている。肝心の安倍首相との関係は微妙だが、菅義偉官房長官とは良好な関係を持つ。

 二階氏の問題は高齢であることだ。安倍氏としては菅氏経由で二階氏をうまく使い、アベノミクスから積極財政に政策転換する際に、うまく二階氏を使いたいところだろう。失敗したら二階氏の責任とするのだ。

 このままいけば、自民党は清和会の天下が当面2年は続く。安倍首相は今回の改造人事で、後継候補を競わせる手に出た。しかし、後継指名がすんなりいくとは限らない。まさに、仁義なき戦いが始まるのだ。

 安倍後継の岸田文雄政調会長、菅氏…。ただ、経世会(現竹下派)と二階派が薩長同盟のように手を握ったらどうなるか。積極財政派が息を吹き返すのは目に見えている。安倍首相が一番恐れているのは、「田中角栄の亡霊」の復活である。そのキーマンは二階氏、そして二階派と経世会の薩長同盟実現だ。

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