工藤會 法廷闘争 検察と警察による暗黒裁判のシナリオ 寄稿・宮崎学 (4/4ページ)

週刊実話



「ヤクザは悪くないとは言いませんが、『ヤクザだから冤罪でもいい』という風潮には反対ですね。中世の魔女裁判と変わりません。これまで指定暴力団のトップに死刑が求刑されたことはありませんでしたから、検察や警察は史上初の死刑求刑を狙いたいのだと思います」(前出・A弁護士)

 米財務省から「ヤクザの中でも最も凶暴な団体」とされた工藤會のトップに死刑を求刑し、国際的な注目を集めたいという司法の思惑も見え隠れするのだ。

 一方、逮捕以来、野村総裁ら工藤會幹部は接見禁止処分を受け、弁護人の面会しか許されていない。初公判が始まれば接見禁止が解かれることも多いが、最近のヤクザの裁判では判決が出るまで接見禁止とする裁判所も多い。

「裁判が終わるまで家族とは会わせないよ。弁護士以外の顔は見させないから」

 こう軽い調子で検察官から言われ、野村総裁は「ああ」とだけ答えたという。もとより接禁は織り込み済みなのであろうが、それにしてもすでに5年が経過した。長年の拘禁状態は健康被害を起こすことが指摘されているが、A弁護士によると野村総裁の体調は良く、弁護人と刑務官以外は誰とも話さない「非日常的な日常」を過ごしているそうだ。

 毎日、午前7時20分の起床から始まり、8時に朝食、正午に昼食、午後4時に夕食、消灯は9時。その間に弁護士との打ち合わせや入浴、運動の時間が入る。

 また、未決囚なので自費で弁当などを購入し、差し入れも受け取ることができる。野村総裁は拘置所の麦飯を「まずくはない」と言い、「1日15分くらいしか運動できない」ことを理由に、毎日1本の野菜ジュースだけを差し入れてもらっているという。さらに「年の数だけ」スクワット運動をし、多くの時間は読書に費やしているそうだ。

 そんな野村総裁は10月23日、再び法廷に立ち、新たな闘いに臨む――。

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寄稿:宮崎学
1945年、京都市生まれ。父親は京都市伏見区に本拠を置く寺村組初代組長で、’65年、早稲田大学に入学。『週刊現代』の記者を経て、作家、ジャーナリストに。近著に『山口組と日本』(祥伝社新書)などがある。
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