工藤會 法廷闘争 検察と警察による暗黒裁判のシナリオ 寄稿・宮崎学 (1/4ページ)

週刊実話

工藤會 法廷闘争 検察と警察による暗黒裁判のシナリオ 寄稿・宮崎学

 我が国で唯一、「特定危険指定暴力団」に指定されている五代目工藤會(福岡)の野村悟総裁と田上文雄会長の公判が、いよいよ10月23日に始まることとなった。逮捕から、実に5年もの時を経ての開廷である。

“平成の頂上作戦のクライマックス”ともいわれた野村総裁の逮捕劇は、平成26年9月11日に起きた。
「工藤會潰しの記念日として覚えやすくするために、(平成13年の)アメリカ同時多発テロ事件の『9・11』に合わせたのさ」

 ある捜査関係者は、こううそぶいたというが、冗談半分、本気半分といったところだろう。実際、当時は記者たちの間でも「工藤會の9・11」で通用していたのだから。その後も野村総裁は再逮捕を繰り返されることになるが、「9・11」の逮捕は元漁協組合長射殺事件(平成10年2月)を指示したとする殺人と銃刀法違反の容疑であった。

 平成26年9月11日は、早朝から野村総裁の自宅周辺に福岡県警の捜査員らに加えて、全国の警察から約300人の機動隊員が派遣された。上空にはヘリコプターが飛び交い、大勢の工藤會の関係者が見守る中での逮捕となった。報道によると、自宅から出てきた野村総裁が県警のワゴン車に乗ったところで、逮捕状が執行されている。野村総裁が被っていた帽子を関係者に預けると、車は静かに発進し、関係者らは一斉に頭を深く下げて車を見送った。まるで往年のヤクザ映画である。

 野村総裁の逮捕を受けて福岡県知事は記者団に対し、「大きな前進」とコメントしたが、工藤會側はすぐに「不当逮捕。断固として闘う」と表明。そして、この2日後に田上会長も逮捕された。約1カ月後の10月1日には女性看護師が刺傷された事件(平成25年1月)、翌27年5月には歯科医師が刺傷された事件(同26年5月)、6月には所得税法違反容疑、7月には福岡県警の元警部が銃撃された事件(同24年4月)で逮捕、のちに起訴された。

 平成27年6月の逮捕容疑は、「上納金の脱税」という前代未聞のものであった。野村総裁は平成22年〜25年の4年間で、「会の運営費」として集めた会費のうち個人所得にあたる約2億3000万円を申告せず、所得税約8800万円を免れたとされた。金額はその後に上積みされ、約8億900万円を申告せず約3億2000万円の脱税となった。

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