サークルをしばらく休んだら行きにくくなった……めんどくさい気持ちをスッキリさせるには? #もやもや解決ゼミ

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大学でサークル活動に励んでいる人も多いと思います。ただ、いったんサークルから足が遠のくと、活動に参加するのが面倒になる、なんてことも起こりがち……。

このような「サークル活動をしばらく休むと行くのが面倒になる現象」はなぜ起こるのでしょうか?

サークルをしばらく休んだら行きにくくなった…

この現象について、立教大学・現代心理学部映像身体学科の香山リカ教授に回答いただきました。香山先生は大学教授だけではなく精神科医としての活動も行っています。

サークル活動は半分習慣化された行動だからふだんは行きやすく感じる!

人間は毎日、さまざまな行動をします。「今日は何もできなくて、家でゴロゴロしちゃった」というときでさえ、よく考えるといろいろなことをしています。
横になってても寝返りを打ったり、毛布にくるまったり顔を出したり、のどが渇けば水も飲むし、もちろんトイレにだって行きます。

ただ、それをいちいち「あ、今背中がカユくてかいた」とか「小腹が減ったからパンを手に取って口に入れ、そしてかんで飲み込んだ」とか意識することはありません。大部分の行動は無意識のうちにやっているので、結果として「今日は何もしなかった」と思う、というだけのことなのです。

この無意識の行動の多くは、自分にとって習慣化されているものです。「喉が渇いたら、冷蔵庫のところまで歩いて行って、扉を開けて中からペットボトルを出して水を飲む」などという行動は、何十回、何百回とやるうちにすっかり習慣化されて身に染みついてますから、いちいち「よし、やるぞ」などと決意しなくても自然にできるわけです。

大学でサークルや部活に行く、というのはどうでしょう。「家で水を飲む」と同じように何も考えなくても自然にできる、とまではいきません。

でも、毎日「よし、今日も頑張って行くぞ」と決意し、意識して出ているとも言えないと思います。まさに無意識と意識の間の半分習慣化された行動。それがサークルや部活への参加なのではないでしょうか。

面倒になったら「とにかく部室に行ってみる」

習慣を取り戻そう!

サークル活動をしばらく休むと、習慣という部分はかなり薄くなってしまいます。

何も考えなくても部室に足が向いていたのが、「今日はどうしよう? 行こうか、休もうか。行くとしたら何時に教室を出ようか」などとしっかり意識しないと行くことができなくなる。これは、けっこうストレスになります。

すると、余計に「あー、しんどい。もう考えたくないから、やっぱり今日も休もう」ということになる、それがまたさらなるストレスとなって……と、悪いサイクルに陥ってしまい、長期間休むことになるわけです。

それを打開するには、「しばらく間が空いたとき、最初の1回は何も考えずに出かけること」しかありません。

「大丈夫、大丈夫。大したことないんだから」と自分に言い聞かせ、なるべく意識を使わずに、別のことを考えながらとにかく部室に直行する。

これが一度できれば、また「無意識に出かける」という習慣が体に戻ってきますから、あとは自然に行けるはずですよ。「中断の後の再開の一歩」をなるべく気軽な感じで、身構えずに。これが大切です。

いったんサークル活動から遠ざかると、面倒だなと感じるようになるのは「しっかり意識しないと行けなくなるから」とのことでした。「よし行くぞ」と意識しないと参加できなくなることが、強いストレスになるのですね。

楽しいと思っていたサークル活動から足が遠のいてしまった人は、香山先生のアドバイスに従って、とにかく一度部室に行ってみるのはどうでしょうか? 面倒くさいと思う気持ちが一新されるかもしれませんよ。

イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp

教えてくれた先生

香山リカ先生
 精神科医・立教大学現代心理学部映像身体学科教授。

1960年北海道生まれ。東京医科大卒。
豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。 

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