歴代総理の胆力「吉田茂」(1)総理大臣就任は、運の強さと偶然性によるもの (2/2ページ)

アサ芸プラス

一つは新憲法すなわち日本国憲法の公布・施行、二つは前任の幣原政権による農地改革案に満足せぬGHQ(連合国軍総司令部)に対し、さらに民主化を進めた形での農地改革法を成立させることであった。結果、この二つの難題をクリアー、公布・施行へ持っていった。

 そして、三つ目が、特に食糧危機への対応としての小麦などの食糧緊急輸入の取り付けであった。この緊急輸入では、「親英米派」を生かして吉田はGHQの総司令官・マッカーサーと直談判、「450万トンの食糧輸入がなければ大量の餓死者が出る」と、農林省の統計に基づいて陳情したのだった。しかし、GHQはこれで餓死者は防げるとして、70万トンしか輸入許可を出さなかったのである。マッカーサーは「日本の統計はデタラメではないか」と吉田を責めたが、吉田はこう切り返した。

「わが国の統計が完備したものだったら、あんな無謀な戦争は行わなかったし、統計どおりであれば戦争は勝っていた」

 このユーモアにマッカーサーはニンマリだったが、昨今わが国会でも厚労省の「不正統計」問題が話題になったが、大臣もこのくらい機知に富んだ国会答弁ができなくてどうするとの思いもある。

■吉田茂の略歴

明治11(1878)年9月22日、東京生まれ。貿易商・吉田健三の養子となる。外相を歴任後、昭和21(1946)年5月内閣組織、総理就任時67歳。対日講和条約調印をはさんで、第5次内閣まで。昭和42(1967)年10月20日、心筋梗塞のため死去。享年89。

総理大臣歴:第45代1946年5月22日~1947年5月24日、第48~51代1948年10月15日~1954年12月10日

小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。

「歴代総理の胆力「吉田茂」(1)総理大臣就任は、運の強さと偶然性によるもの」のページです。デイリーニュースオンラインは、鳩山一郎週刊アサヒ芸能 2019年 10/31号内閣総理大臣小林吉弥吉田茂社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る