恋かすらもわからなかったもの (1/3ページ)
ボーイズラブばかり読み漁る思春期のさなか、彼女と出会った。
小学生の時点で、生身の男性への抵抗感があった。少女漫画に出てくる「ちょっと意地悪だけれど肝心なときには身を挺して守ってくれるイケメン」しか眼中になく、一方で、たとえそういうイケメンがいたとして、自分と恋には落ちないだろうと醒めてもいた。
だから、いっそ自分というものを忘れて恋愛の甘くて気持ちいいところだけをむさぼりたくて、男同士の恋愛の世界をのぞくようになった。
■2人を繋ぐ共通点
中学受験をして、中高一貫の女子校に入った。
同級生たちと気に入った漫画を貸し借りし、その中に誰かが紛れ込ませたBL同人誌の感想を長時間語り合ううちに、ひとりの女の子ととびきり仲良くなった。
彼女はとっても真面目でおとなしい、でもよくよく聞くと自分の意見をしっかり持っている「副委員長」という感じの子で、ちゃらんぽらんで遅刻魔の私とは表立った共通点はほとんどなかった。
でも、コンテンツの感想を言い合うときには、ほかの誰よりも話が弾むのだった。
クラスが同じ年度も、ちがう年度も、毎朝毎夕一緒に通学し、昼ごはんを一緒に食べ続けた。
休日には秋葉原をブラブラしてから、ソフマップ横にあるマクドナルドの一角を陣取って何時間でも話した。
当時はニコニコ動画が全盛期だったから、「この動画で使われている曲、あのカップリングのイメソンにぴったりじゃない!?」「この2人のイメソンプレイリストつくるなら?」なんて会話もたくさんした。
天野月子、Cocco、BUMP OF CHICKEN、RADWIMPS、シド、PLASTIC TREE……などなど。ちょっとダウナーなトーンの曲が、お互いが好きなカップリングには合っていた。
■彼女と私の関係って?
その頃、学校には、付き合っているとささやかれる人たちが何組かはいたし、そうでなくてもエネルギーと自意識の暴走している年頃だから、教室のカーテンにくるまってこっそりキスをしたなんてうそぶく人たちもいた。