良い小説は「ボイス」が聞こえてくる 平野啓一郎と速水奨が語る小説論、演技論(前編) (5/5ページ)
だから常に自分の中の分人を無意識に分析しているんだと思いますね。
――そういう意味では俳優は分人の構成比率を意図的にする達人なのかもしれないですね。平野:いろんな人と接していろんな自分になる経験があると、「あの時の自分の感じ」というバリエーションが増えるんじゃないかと思います。アニメーションがなぜリアルな人間のように感じ取れるかというのは、いろんな技術の集積だと思いますけど、やはり「声」というのが大きいでしょう。だから、フェイクな感情では演じられないという速水さんの言葉はよくわかります。そこがフェイクになるとすべてが作り物になってしまうんじゃないかと。