絵画のような音楽。『いかれたBaby』に包み込まれるやさしい夜 (4/4ページ)
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あれから、もうすぐ6年になる。会社で数年働いたら独立してアーティスト活動をするのだと言っていた彼は恐らくまだ勤続していて、新卒で入った会社に骨をうずめるのだと豪語していた私はあっけなく1年足らずで会社を辞め、たまたま流れついた先で文筆業をしている。
音楽を聴かないのにラブソングに関する原稿依頼をいただき、両手におさまるくらいしか知らない思い入れのある曲の歌詞を片っ端から調べてみると、その中にひとつだけラブソングがあった。
私はその曲がラブソングだと知らなかった。もっと言えば、その曲が私にとって音楽であるかも疑わしかった。私はその歌を“見ていた”から歌詞をきちんと知らなかった。
ただ、やさしい多幸感だけを感知していた。
指でなぞるように、歌詞をたどっていった先、私は6年越しにこの曲と出会い直すことになる。
人はいつでも 見えない力が 必要だったり してるから 悲しい夜を 見かけたら 君のことを 思い出すのさ
(文:佐々木ののか、イラスト:オザキエミ)