「祈り方の先生」が教える、神社の参拝作法と日本神話の密接な関係 (2/4ページ)
また、常に神様に心を向けることが重要です。建物に心を向けている方もいますが、それは一つの観光参りです。
――いつも本殿で祈ったあとにふと気が抜けて、いつもの振る舞いになってしまうのですが、最後まで気を抜いてはいけないと。北川:そうですね。自分は鳥居をくぐってから鳥居を出るまではなるべく話さないようにしています。
――また、手水が「イザナキの禊」に通じているなど、日本神話との関連も興味深かったです。北川:日本の神話は知っておくべきだと思いますね。『古事記』と歴史書の『日本書紀』がありますけど、『古事記』の方が難しくないので、勉強するならこちらからがおすすめです。
その『古事記』の中の出雲神話はこの本には書いていないのですが、一番のメインとなる部分は分かりやすく説明しています。例えば天照大御神の岩戸開き神話が神社祭式とつながっていることは、神職ならばみな知っていることです。
日本の神話を知らないと、神社のことを分かったとは言えません。天照大神が岩戸の中に隠れて、その前に八百万の神が集まって祭壇を設け、そこで祝詞を唱えた。そういう故事があるんですね。そこで神々が祈り、天照大御神を引き出した。そうして、「暗闇の世界」は「明るい世界」へと変化しました。それが「祀り」なんですよね。
これは神社にお参りするうえで必須の知識です。その必須中の必須の部分をこの本の中で網羅したというわけです。
――『古事記』の内容を知ると、今の私たちの神社参拝とのつながりが見えてくるのが面白かったです。一つ一つの行動にも由来があることを知ると、違ったように見えてきますね。北川:そうですね。神社の鳥居をくぐった瞬間に神話の世界の中に没入していくようなお参りが良いのだと思います。さきほどおっしゃったように、お手水はイザナキの禊の簡易版です。本当は、イザナキは全身の穢れを清めたのですが、現代ではそれは難しいですからね。
また、石が敷き詰められた清浄な参道も、イザナキの禊の故事によるものです。神社は古事記の中の世界観がリアルになったものですね。