「天才」の正体と「天才」になる方法 (3/5ページ)
たとえば「時速100kmで7分走ると何km進むか?」という問題があるとします。
普通の計算では、60分で100km進むわけなので、まず100を60で割り、1分当たりに進む距離を出して、それに7を掛けると答えがでます。しかし電卓が必要です。
ところが彼は頭の中ですぐに簡単な例に置き換えます。
この問題が分かりにくいのは時速100kmの部分ですので「時速60km」を使います。時速60kmなら1分に1kmですから、7分なら7km進むとすぐに分かります。
時速100kmは時速60kmのだいたい2倍の速さだから7kmの倍なら14km。
しかし実際の2倍である時速120kmよりも少しだけ遅いから「12kmくらいかな?」とつぶやきます。彼によるとここまで3秒かかりません。
実際に電卓を叩くと11.6で約12kmです。電卓の答えを見た周りの人は驚きます。
たとえここで13kmと答えたとしても、やはり周りはすごいと感じるし、本人も「ちょっと外したか」と思うだけで、次のために頭を微調整するでしょう。彼の能力はさらに向上します。
彼によると、どんな問題にどんな種類の例が当てはまりやすいかの判断は、スポーツに近く、長年の練習で積み上げてきた無数の「簡単な例」の中から直感的に拾い上げるイメージだそうです。
幼児期からずっと毎日、それを繰り返してきたというのです。勉強にかぎらず、日常生活でも。毎分毎秒全てがこのような「イメージ先行型」で、簡単な例に置き換えるスキルはめきめき上達します。
天才の幼児期を辿ると、そうした独特なイメージ先行の風景が見えてきます。彼らの世界に漂っているのは数式や文章よりも、もっと抽象的に漂う数字や音の風景なのではないでしょうか。
■天才は二種類いる?
その後社会に出ると、彼と同じようなイメージ先行型の天才に出会うことがありました。そのうち、天才には二種類あるのでは、と感じるようになりました。
大学の時に出会った先述の彼はいつもどこか物憂げで、自分の才能とは別のところに興味を抱いているような人でした。