またも「99%実話」か?『トヨトミの逆襲』で描かれる、トヨタ崩壊へのカウントダウン (1/3ページ)
経営者という仕事は、なかなか実態が見えないものである。
華やかな舞台に立ち、ビジョンを語る人たち――ソフトバンクの孫正義氏であったり、ZOZO前社長の前澤友作氏であったり――は決断力があり、失敗してもへこたれず、夢に向かって邁進していくという、カリスマ性をもった理想的なリーダーとして私たちの前に立ち現れる。
パナソニック創業者の「経営の神様」松下幸之助はじめ、焦土と化した日本の戦後復興の象徴でもある、「ホンダ」本田宗一郎や「ソニー」盛田昭夫たちも、美しく勇ましい数々の伝説が今日にいたるまで語り継がれているが、一方でそういう「神話」に異をとなえるジャーナリストが書いたノンフィクションが数多くある。
■「99%実話」と噂された『トヨトミの野望』経済記者が覆面作家・梶山三郎氏となって書いた『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』(講談社刊)は、「99%実話」との噂が流れ、その衝撃的な中身で大きな話題を呼んだ。
トヨトミ自動車は、つまりトヨタ自動車であり、作中登場するトヨトミ創業家の豊臣新太郎・統一親子は、トヨタ自動車の豊田章一郎名誉会長と豊田章男社長、たたき上げの社長・武田剛平は、奥田碩氏がモデルで、豊田家と奥田氏との確執などトヨタの「奥」が赤裸々に描かれたため、「名古屋界隈の書店から本書はすべて消え」「小説を偽装したノンフィクションではないかと世間を騒がせた」(夏野剛氏の小学館から刊行された同書・文庫版解説より)のである。
『トヨトミの野望』にはこんなことが描かれている。
愛知県に本社を置く巨大自動車メーカー「トヨトミ自動車」は創業以来の危機を迎え、会長・豊臣新太郎は、フィリピンに左遷されていた社員の武田剛平を社長に抜擢し、一気に世界一の大企業へと駆け上がっていく。
その後、武田は、豊臣家と会社の経営を分離する「持ち株会社構想」を企てる。しかし計画が事前に新太郎に知られるところになり、失敗。やがて「親の七光り」と陰口を叩かれていた新太郎の長男・豊臣統一が社長に就任する……。
当時、梶山三郎氏はインタビューで、トヨタについてこんなことを語っている。
「創業家である豊田家の持株比率というのは、わずか2%ほどに過ぎません。