またも「99%実話」か?『トヨトミの逆襲』で描かれる、トヨタ崩壊へのカウントダウン (2/3ページ)

新刊JP

しかし、実際には豊田家の本家がいまでも厳然たる力を持っています。奥田さんは、そんな豊田家のあり方についても言及した、めずらしい経営者でした。そうした経緯もあって、実はトヨタが制作している『トヨタ自動車75年社史』からも、奥田さんという経営者の存在はほとんど消されているのです。また豊田章一郎名誉会長の半生について、日経新聞の紙面上に掲載された連載『私の履歴書』でも、奥田さんについてはほとんど言及されませんでした。ある意味で豊田家は、トヨタの歴史を作り変えようとしているのではないでしょうか」(NewsPicks「トヨタを騒然とさせる『覆面作家』の独白」)

梶山氏は、小説を偽装して、創業家が語る「神話」の裏側を描こうとしたのかもしれない。そんな『トヨトミの野望』の続編となる『トヨトミの逆襲』(小学館刊)が刊行され、こちらも、名古屋の主要書店のほかに、東京の丸善丸の内本店でも文芸書の売上第一位になるなど早くも世間を騒がせている。

■揺れる日本最大の自動車メーカー その経営者の戦いを描く

前作では、主人公はサラリーマン社長の武田剛平だったが、今回の主人公は、なんと創業家の御曹司・豊臣統一。しかも話は2016年からはじまるから、まさに「今」を描いている。

物語は、その統一社長と、取り巻きで曲者ぞろいの役員たちの人間模様が綾になって進んでいく。
“大老”と呼ばれる70歳を過ぎた副社長・林公平、統一の古くからの側近、寺内春人、役員人事を牛耳る笠原辰男……。とくに林はこの小説の核をなす人物であり、老獪なやり方でトヨトミ自動車での「陰の社長」として権力をふるいだす。

おそらく、これらの人物――もっといえばすべての主要人物について、「あの人がモデルなのではないか」と、トヨタ自動車や、一次、二次、三次とすそ野の広い下請け企業の関係者なら、ピンとくるのだろう。

物語の舞台は、現実と同じ。CASEとよばれる、百年に一度の大波にゆれる自動車業界だ。

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