その手があったか!人々の心を見事に掴んだ織田信長の「引っ越し」エピソードを紹介【下】 (2/3ページ)
「……良かろう。そなたらの進言を聞き入れ、二ノ宮山への移転は取りやめて居城を小牧山に改める」
ここでいきなり出て来た小牧山とは、清州よりは北ですが二ノ宮山よりは南。しかも二ノ宮山のように山々に囲まれた険阻な場所ではなく、平野部を見晴らすように山一つが小高く盛り上がり、近くに川も流れているため、交通の便も決して悪くありません。
思いもよらなかった「英断」に、家臣たちは驚くやら喜ぶやら。二ノ宮山へ移住させられるものと諦めモードになっていた領民たちも、喜んで小牧山へと移住していったのでした。
終わりに……なのですが、実は信長に「居城を二ノ宮山に移す」つもりなど全くありませんでした。
最初から小牧山に着目して移転する肚(はら)を決めていたものの、みんな便利で快適な清州から移住することに抵抗があるので、次なる戦略を遂行するモチベーションを維持するためにも、なるべく不満は残したくありません。
そこで信長は、まずわざわざ山に登る芝居まで打って「(不便極まる)二ノ宮山に居城を移転する」と命じることで家臣や領民の不満を一気に高めてしまい、一通り怒らせたタイミングで「分かった分かった。みんなの意見を聞き容れて、小牧山にしよう」と物分かりの良さを示します。