仏教者の中でも大人気の真言宗開祖 弘法大師・空海の即身成仏と現実肯定の哲学 (4/4ページ)
禅問答に至ってはとりつくしまもなく煙に巻かれてしまう。それに比べて空海はしかるべき方法を行えば「即身成仏」するとはっきり書いている。基本的な教養を身につけている現代人には、複雑に見えるが悟りに至るまでを段階的に完備しているシステマティックな体系の方が向いているかもしれない。
■見直される空海
全国には「お大師さま」こと空海が訪れ奇跡を起こしたとする弘法大師伝説が根付いている。ここまで民衆の心に浸透している仏教者はいない。初詣ともなれば成田山新勝寺や川崎大師を参拝する人の数は東西本願寺(浄土真宗)、永平寺(曹洞宗)を凌ぐ。貴族仏教と言われながらも民衆に最も愛されているのは空海なのである。それは、即身成仏した空海が、今はなお高野山奥の院から生命肯定の真理を説き続けている「宗教的事実」の証といえるだろう。あくまで生を肯定し、生きることの素晴らしさを説き続ける空海の宇宙哲学・生命哲学は環境問題や高齢化社会に大きなヒントになるはずである。表面的な神秘的イメージから一歩抜けて見直してみてはいかかだろうか。
■参考資料
■空海「即身成仏義」角川文庫(2013)
■宮坂宥勝「仏教の思想 生命の海(空海)」角川文庫(1996)
■松岡正剛「空海の夢」春秋社(1984)
■金岡秀友「密教の哲学」講談社学術文庫(1989)
■末木文美士「日本仏教史」新潮文庫(1996)