古典落語「ちはやふる」の見事なまでのこじつけ!知ったかぶりもここまで来れば面白い (4/4ページ)

Japaaan

「……しかしご隠居、仮にも花魁にまで昇り詰めた売れっ子の遊女が、いくら何でも乞食なんてしますかねぇ」

「なったもんはなったんだから仕方なかろう。世の中は無常なもんじゃ」

「それと、『くくる』ってのは縄か何かで首か何かを括るんであって、かけるとは違うんじゃ……」

「まったくうるさい奴め、何せ平安時代の和歌じゃから、昔は訛っておったんじゃ(多分)」

「へぇ、そんなもんですかねぇ……あともう一つ」

「何じゃ」

「最後の『とは』って何ですか?」

「あぁ……それはな……そうじゃ、千早とは源氏名で、本名が『とわ』だったんじゃ」

……お後がよろしいようで。

終わりに

こうして、どうにかその場を切り抜けたご隠居でしたが、その解釈は場当たり的で、文脈もかなりねじれています。

【ご隠居の解釈】
千早に振られ 神代にも聞き入れられなかった 竜田川
おからをやらないで とわ(落ちぶれた千早)に水をぶっかけた

この強引なこじつけを口八丁で押し通すご隠居の必死さと、素朴ながら鋭いツッコミを入れる八っつぁんとの掛け合いが本作の面白みであり、また、平安時代の和歌に花魁や近世的な力士が登場する点も可笑しみを誘います。

作者(在原業平)もきっと苦笑い。

まったくとんだ「知ったかぶり」でしたが、古典への誤解・誤訳が新たな作品を生み出すのもまた一興。試験に出る訳でもありませんから、100%正解でなくても「諸説」の一つとして大らかに楽しむのがいいでしょう。

※参考文献:
大阪府立上方演芸資料館 編『上方演芸大全』創元社、2008年11月1日

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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