ゾロアスター教が鳥葬を行う理由は?鳥葬に込められている思いとは? (2/4ページ)

心に残る家族葬



■ゾロアスター教が土葬を良しとしない理由

ゾロアスター教が鳥葬を採用しているのは功徳や衛生面だけでなく、火葬や土葬にはできない理由もある。ゾロアスター教では霊魂と分離した遺体は放っておくと悪魔に支配され不浄なものとなるとされる。そのため遺体は早々に処分しなければならず、葬儀は死の当日に行われ葬儀人など専門的な職種にある人以外は近づけなかったという。「沈黙の塔」のような専用の施設を建設した理由は、穢れた死体を大地に接触させないためであった。従って土葬は厳禁ということになる(本来古代ペルシアでは土葬が主であった)。

■ゾロアスター教が火葬を良しとしない理由

火葬については元々古代社会において多くはなくインド以外にはあまり見られない。火をおこすこと自体が困難だったという実用的な問題もあったと思われる。さらにゾロアスター教は「拝火教」と呼ばれるように火を神聖なものとして崇めている。火は宇宙の真理(アシャ)が具体的な形象を帯びたものとされており、不浄な死体を焼くことは火を穢すことになる。従って火葬は厳禁である。ゴミを焼くことすら許されず、清潔で乾いた木と捧げ物のみであったという。多くの文化において火は水と並び浄化の象徴である。キリスト教における煉獄の炎は罪を焼き滅ぼし浄める。真言密教では護摩の火で煩悩を焼き尽くすとされ、真言密教が用いる「胎蔵曼荼羅」には煩悩を浄化する燃える三角形が描かれている。神社仏閣で行われる古いお守りなどを焼くお焚き上げは我々にはお馴染みの光景だろう。いずれも火は神聖なものであることは共通しているが、ゾロアスター教においては神聖なる火が不浄な死体を浄めるということにはならず、かえって穢れてしまうのが興味深い。そして鳥葬にはもうひとつ意味が込められている。

■ゾロアスター教が鳥葬を採用している最大の理由は天空への憧れだった

鳥葬は鳥が死者の魂を天上界に運んでくれるという意味も含まれている。現実世界で唯一天空を飛ぶ存在が鳥類である。死体を鳥が食べることでその魂も天に昇るのは視覚的にも容易にイメージすることができるだろう。

人間にとって天空は見果てぬ夢であった。天国にしろ極楽にしろ死後の世界、神々の世界は天上にある。
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