〈企業・経済深層レポート〉 キーワードは“カメラ” EV発表で見えたソニーの新戦略 (2/2ページ)

週刊実話

近未来の完全自動運転を見据え、旅行などで乗車時間中、楽しむ工夫の先取りです」(ITアナリスト)

 今回のソニーの新チャレンジ、これから米テスラのように新興EVメーカーとして乗り出すステップなのだろうか。
 自動車業界関係者が解説する。

「ソニーが発表したEVは、車に必要な法整備をクリアしていないこともあり、あくまで試作品。ソニーの狙いはEVメーカーとして自動車業界に参入するわけではなく、ソニーの車載技術を車市場に猛アピールする狙いがあると思います」

 同関係者によれば自動車業界は自動運転を見据え、メーカー間で激しい競争が展開中だ。

「その際、大きな役割を果たすのが『カメラの眼』といわれるイメージセンサーです。特に低価で省電力型のCMOSイメージセンサーの優劣が自動運転のカギになる可能性が高いでしょう」(同)

 実は、ソニーはデジタルカメラの技術が高く、世界中のカメラ市場で圧倒的なシェアを持っている。

「特にスマートフォンに内蔵されているカメラには、ソニーのセンサーが使われていて大きなシェアを持っている。現在のCMOSセンサーは手振れに強く、明るさで抜きんでるタイプをソニーが開発した。その技術力は他社より5年先を行くと高く評価されています。ただ、スマホカメラは成熟期で頭打ちの懸念が出てきた。だから、ソニーとしては早いうちに次の手を打ちたい。そのため、今回EVを発表して、車載向けCMOSイメージセンサーのPRをしたのです」(同)

 ソニーは’16年頃から車載向けセンサー開発部署を立ち上げ、積極的に動き始めていたという。だが、スマホとは異なり、自動車業界へのCMOSセンサーでの食い込みは至難を極めるという。

「車載向けCMOSセンサーの世界市場は、アメリカのオン・セミコンダクターなどの数社が寡占状態で、ソニーは1割にも満たない。そこを打開するためソニーは、試作車を作り世界に猛アピールするという思い切った手を打ったのです」(自動車誌専門記者)

 ソニーの吉田憲一郎CEOは、ラスベガスでの会見で「過去10年は、スマートフォンなどモバイルが生活を変えた。次のメガトレンド(大きな社会変革)はモビリティ(最新テクノロジー駆使の車)だ」と断言し、車載テクノロジーへの進出に強い意欲を示した。

 その野望は、果たして成功するのか。

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