相続税対策のド定番「借金して賃貸不動産」が否認された事例を元国税が解説 (1/2ページ)
相続税の節税で、頻繁に使われるものの一つに賃貸不動産があります。借金をして、賃貸不動産を建築する場合、相続税の計算上、以下のようなメリットがあります。
・借金は額面で評価され、その額面金額を控除できる
・賃貸不動産は時価の5~6割程度の固定資産税評価をベースに、貸し付けることで利用できなくなる部分として一定割合の控除ができる
こういう訳で、不動産販売業者などが相続税対策を目的に、富裕層に賃貸不動産を販売するケースが多くあります。
■「借金して賃貸不動産」のデメリットは?
このスキームのデメリットとして、賃貸不動産を建てたものの、借り手がつかずキャッシュフローに困窮するということが挙げられます。しかし、こと相続税に関しては、今まで特に問題とされたことはありませんでした。
■賃貸不動産スキームの否認事例
先日、この賃貸不動産スキームが否認された事例の裁判があり、その裁判において国税が行った否認については、法律上問題ないと判断されました。王道中の王道の節税スキームが否認された訳で、税理士業界では非常に驚かされています。
とりわけ、この否認事例で重大なポイントは、賃貸不動産を建ててから数年が経過しているのに、節税がダメと言われた点です。従来、相続が始まりそうなタイミングで駆け込み的に節税につながるタワーマンションを購入するなど、あからさまな節税に対しては国税も厳しい態度を示していました。しかしながら、本件は直前ではないので、従来の常識とは異なる判断となっています。
■問題になったのは二つ
本件でこのスキームが否認された理由としては、大きく二つあると言われています。一つは、借金した銀行の稟議書に、相続税の節税のため、賃貸不動産を建築する必要があることから融資を申し込んでいる、といった趣旨の記述があったことです。節税という目的があることを銀行調査を通じて国税が把握したことが、露骨すぎるため否認された大きな証拠となっています。
もう一つは、このスキームを活用することで相続税をゼロにしている点です。合法的にゼロになっているものの、国税的に面白い訳がありません。