時空を喰らう「無の泡」とは何か? (2/6ページ)
たとえ量子が励起して真空よりも高いエネルギー状態になったとしても、それは長くは続かず、陽子などの形のエネルギーを放出しながら、すぐに一番低いエネルギー状態へと崩壊してしまう。
この宇宙がほぼ真空であるということは、最初から一番低いエネルギー状態にあるということだ。だから、時空崩壊を心配する必要はそれほどない――はずだ。
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・安定しているように見えて安定していない偽の真空
だが、理論物理学によれば、このような前提では、ちっとも安定しないのだという。
1970年代初頭、ロシアの研究者によって、安定した真空と不安定な非真空との中間の状態について考察された。それは長い間”メタ安定状態”が続き、なかなか崩壊しないことから、一見安定しているように見える状態だ。
この状態は「偽の真空」と呼ばれており、初期宇宙の状態に関する理論、重力の効果、宇宙を観察した結果といったものに関する矛盾点を解消するために考案された。
じつのところ、偽の真空はビッグバンへの移行期のみを記述するための仮説だが、「ヒッグス場」に関するより最近の研究からは、我々がまだ偽の真空状態を生きている可能性が示唆されている。
というのも、これまで安定している(エネルギーが最低の状態)と考えられてきたヒッグス場が、最低エネルギー状態ではないかもしれないことが分かったからだ。