時空を喰らう「無の泡」とは何か? (5/6ページ)

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・無の泡理論の真の目的とは?
これについて、今回紹介した論文の著者の1人、ウプサラ大学のマージョリー・スキロー氏も同意している。
彼女によれば、無の泡理論の目的の1つは、無の泡による時空崩壊がほとんどあり得ないことだと仮定した場合に導かれる、超弦理論的宇宙についての洞察を得ることであるという。ひも状真空に基づいて私たちが暮らす宇宙を記述するつもりなら、宇宙が崩壊する経路を理解することが大切なのだそうだ。
じつは論文にはもう1つ目的がある。スキロー氏らの考えでは、宇宙を破壊する無の泡の数学的説明は、宇宙の起源のモデルとしても使えるかもしれないのだそうだ。
凄まじいスピードで拡大する無の泡の挙動は、初期の宇宙が膨張する様子とよく似ている。特に、無の泡の外側の表面は、仮に宇宙の誕生を外側から観察できたときの様子にそっくりだと考えられるらしい。
ずいぶん強引にも思えるかもしれないが、これは理論物理学と初期の宇宙理論の重要なテーマだ。

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「どのような条件なら、観測者は無の泡に”乗る”ことができるのか。これを探求し、今私たちが暮らしている宇宙と似た宇宙を調べるのはとても面白いことです」とスキロー氏は話す。こうした理論は、観測されたダークエネルギーの説明にもつながるかもしれないそうだ。
研究者だって宇宙については分からないことだらけなのだ。こうした話は我々素人の頭を混乱させるばかりかもしれない。