膀胱が勝手にアルコールを醸造してしまう。一切お酒を飲まない女性の尿からアルコールが検出 (2/3ページ)
さらに血液検査でも、エタノールは検出されなかった。血中にアルコールはないし、本人も酔ってもいない。それならば、尿中のアルコールはどこからきたのか?
よくよく調べた結果、この女性の膀胱内には、アルコールを醸造するときに使われる酵母カンジダ・グラブラータという菌がいることがわかった。
つまり、この女性の膀胱は、アルコールを発酵させる微生物がいる醸造所のような働きをしていたということだ。女性の膀胱からこの酵母菌のサンプルを採って培養してみると、ちゃんとアルコールができた。
アルコールを醸造するには、いくつかの要素が必要だ。水、糖、酵母、無酸素状態がその条件だ。女性は糖尿病だったこともあって、そこにこの酵母が加わることで、たまたま膀胱内がこの条件に合うアルコール生成に理想的な環境になっていたというわけだ。

Steve Buissinne from Pixabay
・膀胱でアルコールが醸造されたのは世界初のケース
この研究結果を発表した同大学の臨床毒性学研究室室長で病理学准教授、玉真健一氏は、次のように語っている。
この条件を生み出した最大の理由は、患者が糖尿病の治療を怠っていたことだと思います。ブドウ糖の濃度が高い膀胱の環境が、酵母の増殖と活動にとって絶好の条件となるからです。
さらに、糖尿病はそれ自体が免疫不全の原因になることが知られています。今回のケースでは、それも酵母菌が膀胱で活発に繁殖する助けになったと思われます
胃など消化器官では、腸内細菌の働きで、酵母や糖が結合して、アルコールができてしまう自発的発酵の症状がみられることはある。「自動醸造症候群」と呼ばれるものだ。この場合、炭水化物を食べただけで、酔っぱらったようになってしまうことがあるという。