初回はボールが浮きやすい プロ野球スコアラーが語る神宮球場の怪 (4/5ページ)
たとえば、松井秀喜は「配球が読みやすいから」ということで追い込まれるまで待つタイプだったので、相手バッテリーは初球、簡単にストライクを取ってくる。だから本人には、「相手は振ってこないと思っているから、初球はアウトコース寄りにストレートがくるよ」と言って、あえて狙わせたりしていました。
――野球はチームスポーツである一方で、プロ野球選手は自分の成績次第で収入が上下します。スコアラーが集めて分析した情報に基づく戦略は試合の中でどのくらい徹底されるのでしょうか。
三井:そこが難しいところなんですよね。ある投手に対してチーム単位で「こういうボールを狙ってこうやって攻略しよう」と徹底しようとしても、「それで打てなかったら給料が下がる」といって嫌がる選手もいますから。
そういう時は、「査定の責任者にかけあって、1打席目は凡打しても目をつぶってもらうからな。だから、頼むからこの方針に沿って打席に入ってくれ」とか言って、なんとかやってもらうように仕向けます。まあ、そんなことは実際には査定担当のかけあわないのだけど(笑)。
――4回、5回くらいの攻撃の前にベンチの前で円陣を作っているところを見かけますが、あのタイミングで相手投手の攻略法を指示しているんですか?
三井:そうですね。打者が一回りして相手バッテリーの配球が変わる潮目なのと、グラウンド整備で時間が取れるのとで、5回の攻撃前に円陣を組むことが多いのです。しかしながら、私はあそこでは大したことは話していませんでした。伝えることのほとんどが、試合前のミーティングで言ったことの繰り返しです。選手からしたら、「そんなのわかっているよ」という感じだったでしょうね。
――三井さんはかなり広範囲にわたってチームに指示を出していたとお聞きしました。攻撃面だけでなく守備面も見ていたんですか?
三井:私はベンチ入りしていましたので、守備位置を守備コーチに指示したりはしていましたね。