2009年WBC世界一 「イチローの8球」の陰にあったドラマ (3/5ページ)
ただ、投手側が思っているほど、打者の頭の中は複雑じゃないんですよ。たぶん、球種の感覚は4種類くらいしかないのではないでしょうか。
――捨てる球種があるということですか?
三井:いや、そうではなくて、球種の認識をそんなに細かくしていないんです。投げる方がスライダーとカットボールを投げ分けていても、どちらも同じ方向に曲がるボールですから、打者は同じタイプの変化球として考えます。同じように、シュートとシンカーも打者はあまり区別して考えません。
ストレート、フォーク、スライダー系統、シュート系統、というように大まかに捉えて対応しないと、プロのスピードでは間に合わないんです。
――意外に打者の頭の中は大雑把なんですね。
三井:だいいち、一流打者のような例外を除いて、相手チームのレギュラー捕手と競争できるほどの頭脳は持っていません。配球を考えて打席に立っている人自体、そんなに多くないのが実情です。今、現役の外野手をつかまえてきて「きみに対してのこのチームの配球、どう思う?」って聞いたら、ほとんどの人は「配球……?」となるんじゃないかな(苦笑)。
――「配球」といえば、先日野村克也さんが亡くなりました。何か思い出はありますか?
三井:実はほとんど接点がなかったんですよね。ただ、「たくさん騙されたな」、という印象があります。予告先発のない時代、ヤクルトとの開幕三連戦で向こうの先発投手の予想を全部外した時は「おまえ、何やってんだ!」と監督からかなり怒られました。
野村さんのことで記憶に残っているのは、高橋由伸(元巨人)への対策です。彼は高めが大好きなハイボールヒッターで、ツボに来るとガンガンホームランを打つのですが、よくよく調べるとスライダーが抜けて高めに行ったような「投げそこない」を打っていた。はじめからあえて高めを狙って投げた「力のある高め」は凡フライになっていたのです。
そこに野村さんは気がついたのでしょう。