天王星の大気がはぎ取られていた。30年前のフライバイのデータで明らかに(NASA) (2/3ページ)
NASA/Scientific Visualization Studio/Tom Bridgman
・一定の磁場構造をともなったプラズマの泡「プラズモイド」
その小さく歪んだラインは「プラズモイド」だったという。プラズモイドは「磁気圏尾部」とも呼ばれ、太陽風で吹き流されている惑星の磁場の端の部分に、大気から吸い取られたプラズマの巨大な泡がくっついているような構造をしている。
これは惑星から大気が剥ぎ取られているというサインでもある。
天王星でプラズモイドが発見されたのは初めてのことで、45時間かかったボイジャー2号のフライバイの最中、わずか60秒しか生じていなかった。そのためにデータのノイズのように見えてしまい、当時の研究者からは見過ごされていたのだ。
CoreyFord/iStock
・他の太陽系惑星でも大気流出が起きている
こうした大気の流出プロセスは天王星だけでなく、金星、木星、土星、さらには地球においてすらも起きている。こうした惑星では、粒子が惑星の力を逃れて、宇宙へと流れていくために、少しずつ大気が失われているのだ。
非常に極端なケースでは、大気がほとんど失くなってしまうこともある。これが起きたのが火星だ。
今は乾燥し、荒涼とした風景が広がる火星だが、かつてはまったく様子が違っており、分厚い大気と豊かな水があり、生命すら存在していた可能性があると考えられている。