過去を消した女たち 第9回 さくら(33) 風俗の仕事は「手っ取り早く稼ぐには一番いい」 (1/2ページ)

週刊実話

「高校生になるまで、電車も1人で乗ったことがなかったですし、夜遊びなんて高校の部活が終わるまで、したこともありませんでした。自分で言うのもなんですけど、いたって真面目な生活をしていました」

 都内某所のカフェで、さくら(33歳)という元風俗嬢から話を聞いていた。落ち着いた口調の彼女からは、浮ついた空気は漂ってこない。これまで多くの元風俗嬢に話を聞いてきたが、高校3年生まで夜遊び未経験という女性に会うのは、初めてのことだった。

 現在、美容師をしているという彼女だが、10年ほど前、デリヘルで2年ほど働いていた。いたって真面目な彼女が、なぜ風俗で働くことになったのか。

「高校の時は部活が忙しくて、部活を引退するまでアルバイトもしたことがなかったんです。夏休みを終えた頃にガソリンスタンドでアルバイトを始め、そこで今も友達の加藤という同い年の女性と出会ったんです。加藤は高校を中退して、キャバクラとガソリンスタンドを掛け持ちして働いていました。その加藤に誘われて、カラオケに行ったり、色々と遊ぶようになったんです」

 がらっと変わった高校生活。しかし、両親に加藤さんを紹介したところ、とても明るく愛想がよかったため、「彼女と一緒なら大丈夫」と安心していたという。

 高校卒業後、美容系の専門学校に通い出したさくら。高校時代より出歩く機会は増えたものの、真面目に生活する中、加藤さんから「デリヘルで働かないか」と誘われるようになった。

「さすがに風俗の仕事は、二つ返事でできるものではないので、ずっと断っていたんですけど、『人が足らないから来て』と言われ続けて、半年ほど経って働く決心をしたんです。何事も経験かなって。あまり深く考えないようにもしました」

 友人に誘われなければ、間違いなく踏み込むことのなかった風俗の世界。金銭的に困っていたわけではない。当時は、男性経験も1人だけ。セックスに対しても、ことさら興味があるわけではなかったという。

「初めてのお客さんのことはよく覚えています。緊張してぎこちなかったです。プレイの内容より、その人の態度が印象に残りました。40代の紳士的な人で、私にも敬語で話してくれて、それからちょくちょく指名してくれるようになったんです。

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