楽しんで長距離を走るように、格闘家人生を送りたい (2/5ページ)

日刊大衆

それは実際にアマからプロへと試合を重ねても変わらなかった。大学院に進み、自由の身もあと半年となった時に川尻達也が所属するT-BLOODで、格闘技漬けの生活を送った。人生でただ一度の時を過ごし、食品企業のサラリーマンとして東京に戻り練習を許される範囲で真剣に続けた。

 

11勝のうち、アグレッシブな打撃を武器に6つのTKO勝ちを収める 11勝のうち、アグレッシブな打撃を武器に6つのTKO勝ちを収める

■コロナや家族の言葉を受けて

 DEEPフェザー級の頂点に立ってなお、「格闘技一本でやっている選手が、僕なんかに負けるのがおかしい。僕にとって格闘技は趣味。強くなることが楽しいから続けていて、MMAに見返りを求めていない。サラリーマンをしていて生活の基盤があるからこそ、格闘技が楽しめるんです」という持論を持ち続けていた。

 それゆえにコロナの時代を迎え、急激に社会が変わるなかで、この時期に格闘技イベントが存在し、自分が戦うことに疑問を感じるようになっていく。自身は満員電車に揺られ通勤しつつも──。

 昨年、第一子が誕生した彼に、まず奥方から「できればやめて欲しい」という言葉が聞かれた。試合までカプセルホテルに宿泊し、家族と離れて練習を続けることも頭にあった弥益だが、3月22日にK-1がさいたまスーパーアリーナで決行され、社会の目が格闘技自体に厳しくなるなかで、練習頻度は減っていった。オフィスでは冗談口調であるが、格闘技をしていることを揶揄されることもあった。

 4月、在宅勤務となり、弥益は対人練習を行うことはなくなり、欠場を申し入れることで気持ちは固まった。彼自身、職業格闘家にとって格闘技が不要でないことは理解している。ただし、趣味程度で濃厚接触の機会を設けることに対してでも、ハッキリと異を唱えていた。「経済活動の自粛と感染者拡大の関係については、答は出ないです。でも、僕にとって格闘技は非日常を楽しむモノ。

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