“予言の書”「首都感染」作者が語る「第2波への備え」と「地方創生」 (2/3ページ)

Asagei Biz

確かにそれで手遅れになった人もいるけれども、トータルの数字を見ると日本は医療崩壊も起きなかった。

 ただし、専門家がクラスター潰しに躍起になっている最中、一方では陽性の軽症者を帰宅させていた。それが問題です。「首都感染」にはその辺りが全て書いてあります。陽性だったらとにかく隔離が鉄則。家族は間違いなく感染しますからね。なぜ軽症者を最初からホテル、ないしは体育館や自衛隊の宿舎に隔離しなかったんでしょうか。マスコミが異論を唱えないのも不思議でした。

─およそ100年前のスペイン風邪でも、第2波で大勢が亡くなりました。今後は危機意識をどのように持てばいいと考えますか。

高嶋 ダイヤモンド・プリンセス号を思い出してください。たった1人の感染者から712人に拡散した。処置を誤ると、1人が爆発的に広める可能性がある。緊急事態宣言が解除されて、これから経済活動が始まる県が出てきますが、特定区域の東京や大阪在住の人が県をまたいで外に出ないことが大切です。1人1人の意識がものすごく大事になります。

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「首都感染」の作中、瀬戸崎総理の息子であり医師の優司は「東京封鎖」から1週間後、閣僚を前に弁舌を振るう。

「出来る限り正確に現状をマスコミに伝えてください。感染者の数、死亡者の数、不足している医薬品(中略)、情報公開と正しい説明、それが封鎖の成功につながります」

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─現政権にも読ませたいシーンですが、休業要請解除のプロセスを示した大阪の吉村洋文知事を彷彿させますね。

高嶋 吉村知事は数字を出して明快に答えてますよね。わかりやすいから国民にも伝わるんです。「首都感染」で描けなかったのはその後の経済再開。昔は疫病のあとには、民心の一新のために遷都が行われていた。要するに、その後の社会が「首都崩壊」につながっていくからです。

─「首都崩壊」は高嶋さんの代表的な著書タイトル(14年、幻冬舎)でもありますね。「次なる予言書」とも言われ、東京直下型地震が起こると世界恐慌を招くという「ある論文」の存在によって、日本が遷都を目指していく話でした。しかし、日本人は生活様式を変えるのが苦手ですよね。

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