アメリカのマスクを嫌う風潮はスペイン風邪流行時からあった。1919年に結成された反マスク同盟(サンフランシスコ) (2/3ページ)
マスクなしで公共の場に出かけた者には、5ドルの罰金が科せられたが、それでも数百人がこれに従わず、刑務所送りになった者もいた。
クロニクル紙にもこんな記事が載った。
コロンバス・アベニューで逮捕されたジョン・ラギは、マスクの意味を考えず、こうした制約、ましてやマスクごときで刑務所にぶちこまれるなど、冗談だろうとたかをくくっていたので、マスクをつけなかったと言っている。今、彼は市の刑務所にぶちこまれている。身に染みたことだろう
1918年11月、最悪の時期は去り、ロルフ市長がマスク着用条例解除を宣言したとき、人々はさまざまなマスク、フェイスカバーを投げ捨てて歓声をあげた。
San Francisco Paid the Price for Lifting Spanish Flu Lockdown Early | NowThis
・2度目のマスク着用義務化で反マスク同盟が誕生
しかし、1919年1月に再び流行が始まり、再度マスク着用が義務づけられると、自由な呼吸に慣れた人たちの多くは、また息苦しいマスクをつけるのをためらった。そこで、反マスク同盟が誕生した。
同盟のトップは、エマ・ハリントン。偶然にも1911年に、サンフランシスコ初の女性有権者になった弁護士だ。反マスク同盟の発足式には2000人が参加したが、市当局は反対者たちの規模にひるまなかった。
「これは、公衆衛生の問題で、マスクの好き嫌いには関係ないのは明らかです。ですから、わたしたちは、マスクに反対するどんな扇動者も気にしません」サンフランシスコ衛生局のアーサー・H・バレントは言った。