かつて火星に環があったことを示す新たな証拠が発見(米研究) (4/5ページ)

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これによってダイモスも破壊された可能性が高い。ダイモスはやがて再集積したが、そのときの軌道には傾きがほぼなかったと考えられる。

 同時に、この時代からずっと後になっての出来事でもない。原始フォボスとダイモスの共鳴は、低い傾斜角がなければ起きないからだ。

 クーク氏らは、傾斜が生じたのは35億年ほど前ではないかと推測している。そしてこの時期は、火星に現在のフォボスよりも大きな内衛星があったと2017年の研究が推定する時期とぴったり一致している。


Martian Moon's Orbit Hints at Ancient Rings of Mars

 ダイモスが破壊と再形成を経験し、低い傾斜角になったということは、小惑星の爆撃がその軌道を乱した可能性が低いということをも意味しているという。

 またそれができるような小惑星が飛来していたなら、傾斜だけでなく、離心率をも乱していたはずだ。ダイモスの離心率は素晴らしく小さいので、やはりその線は低いそうだ。


・現在のフォボスが形成された時代

 なお、フォボスについては、おそらくこれまで2回破壊と再形成を繰り返しており、現在のものは2億年前に誕生したと考えられるそうだ。

 日本のJAXAによる「MMX(火星衛星探査計画)」では、2024年にフォボスに探査機を送り込むべく準備が進められている。

 計画通りに行けば、2029年に衛星のサンプルを携えた探査機が地球に帰還することになる。サンプルからはフォボスの年代も特定されるはずだ。その結果が数億年の範囲内にあるならば、今回の仮説の新たな裏付けとなるだろう。

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