1万2800年前、彗星の爆発で滅亡した古代の村。それは農業の始まりとも関係がある可能性(シリア) (2/5ページ)
研究チームのアンドリュー・ムーア氏(アメリカ、ロチェスター工科大学)は、73年の発掘調査当時、「ある区画がひどく焼けていることに気がつきましたが、まさか彗星のせいだとは思いもしませんでした」とコメントする。

guvendemir/iStock
・溶けたガラス粒子が大量に散らばり、人々が犠牲に
今回の分析の結果、テル・アブ・フレイラの土のサンプルには、溶けたガラスの粒がたくさん含まれていることが判明。そのほとんどは直径1、2ミリくらいの大きさで、爆発で土が蒸発し、またすぐに固まってできたものだ。
また溶けてできたガラス粒は、遺跡で回収された種や穀物の周囲や、建物の日干しれんがからも発見された。
さらにガラス粒のほか、ナノダイヤモンド、炭素小球体、炭が高い濃度で検出されている。いずれも彗星の爆発によって形成された可能性が濃厚であるという。
アレン・ウェスト氏(コメット・リサーチ・グループ)は、「暖炉のそばにあった骨の欠片にもガラスが散らばっていました」と話す。つまりは、爆発が起きたとき、そこで人間が暮らしていたということだ。
ガラスには、石英、クロムフェライド、磁鉄鋼といった溶けた鉱物粒子が含まれていたが、これらが溶けるには1720~2200度が必要になる。当時のテル・アブ・フレイラの住人には到底生み出せないだろう熱量だ。
火災や火山に起因する可能性もないではないが、それらが遺跡に残された状態を作り出すために必要な温度に達することはない。
雷ならありえるが、その場合は磁気の痕跡が残るはずだ。そうした痕跡はテル・アブ・フレイラのガラスからは見つかっていない。